ここでは、メジャースケールは覚えられるけど、メロディックマイナースケールは覚えられない中級者から上級者向けにメロディックマイナーを完璧に使いこなせるようにする方法について書いています。
メロディックマイナースケールを覚えることの意義
ジャズの世界では、メロディックマイナースケールは非常に有用なスケールとして知られています。それは、このスケールを覚えることで、メロディックマイナースケールだけでなく、オルタードスケール、リディアンセブンススケールを覚えることができるからです。
具体的には、
メロディックマイナースケールの第4番目の音から始めると、リディアンセブンススケール
メロディックマイナースケールの半音下の音から始めると、オルタードスケール
この考え方が使える例としては、例えば『酒とバラの日々』が挙げられます。この曲の2小節目のEb7 では、『Ebのリディアンセブンススケールを弾く』ことが定石になっていますが、これは『Aのオルタードスケールを弾く』ことと同値です。この場合、Ebのリディアンセブンススケールを覚えるというよりは、Aのオルタードスケールを覚えておけば良いことになります。リディアンセブンススケールとオルタードスケールは裏コードの関係のようなもの、であるということも同時に覚えておくと良いです。
しかし実際には、このような事実を覚えていてもセッションの現場ではあまり役に立たないということの方が多いと思います。スケールには各構成音の特徴というものがあり、コードトーンの度数、トライアドを含め、様々な観点からスケールの全体像を理解しながら覚えていくことが実践的であると考えます。
以下ではメロディックマイナースケールの基本事項を押さえた後で、このスケールを実践的に弾けるようになるためのアプローチを紹介しています。
メロディックマイナースケールの構成音
メロティックマイナースケールの構成音は以下のようになっています。
R・9・m3・11・P5・13・M7
また、特徴的な音は、M7であることを覚えておきましょう。
メロディックマイナースケールから派生するモード
各音から派生するモードは以下のようになります。
モードの名称 (スケールは略) | 特徴 | 使用できるコード |
①メロディックマイナー | ナチュラルマイナースケールの第6音と第7音を半音シャープ
メジャースケールの第3音を半音フラットさせたものでもある。 |
ⅠmM7、Ⅱm7(メジャーマイナーどちらでも可能)
ex)Nica's dream/Round midnight... |
②ドリアンb2(フラットセカンド) | ドリアンスケールの第2音を半音フラット | マイナーツーファイブのⅡm7(b5)で使用可 |
③リディアンオーギュメント | リディアンスケールの第5音を半音シャープ (増5度) | リディアンの親戚と考え、増5度を持つメジャーセブンスコードに使用可 |
④リディアンb7(フラットセブンス) | リディアンスケールの第7音を半音フラット | Ⅱ7、Ⅵb7、bⅦ7
ex)Take the A train/Girl from Ipanema/Just friends ex)Autumu leaves/Beautiful love ex)Days of wine and roses |
⑤ミクソリディアンb6(フラットシックス) | ミクソリディアンスケールの第6音を半音フラット
ヒンズースケールとも呼ばれる。 |
ミクソリディアンの親戚と考え、Ⅴ7で使用可 |
⑥エオリアンb5(フラットフィフス) | ナチュラルマイナースケールの第5音を半音フラット | Ⅵm7♭5に対して使用可
マイナーツーファイブのⅡm7(b5)において、ロクリアンスケールの変わりに使用可 |
⑦オルタード
別名:スーパーロクリアン |
ロクリアンスケールの第4音を半音フラット
『スーパー』とは |
ドミナント進行するⅤ7に対して使用可 |
モードの名称暗記ゴロ
この覚え方は『イドフリミエロ』的に覚えると、『メドリリミエロ』です。
1つ目のメロディックマイナー、4つ目のリディアンセブンス、7つ目のオルタード(スーパーロクリアン)は良いと思います。また、3つ目はリディアンオーギュメントであり特徴的であることも記憶しやすいと思います。
『メドリリミエロ』の赤文字は『2、6、5の順にフラットb』 と覚えておけば、暗記しやすいと思います。
ドリアンb2
ミクソリディアンb6
エオリアンb5
まとめ
メロディックマイナースケールのモードは、
①『メドリリミエロ』
②1つ目MM、3つ目Lyd aug、4つ目Lyd 7th、7つ目alteredである。
③ 残りは『2、6、5の順にフラット』 ドリアンb2、ミクソリディアンb6、エオリアンb5
と覚えましょう。
ダイアトニックコードとトライアドの種類
ダイアトニックコード | 名称 | トライアド |
ⅠmM7 | CmM7 | マイナー C Eb G |
Ⅱm7 | Dm7 | マイナー D F A |
bⅢM7#5 | EbM7(#5) | オーギュメント Eb G B |
Ⅳ7 | F7 | メジャー F A C |
Ⅴ7 | G7 | メジャー G B D |
Ⅵm7b5 | Am7(b5) | マイナー(b5) A C Eb |
Ⅶm7b5 | Bm7(b5) | マイナー(b5) B D F |
上記のようにダイアトニックコードを整理してみますと、トライアドの種類が4種類であることがわかります。また、このスケールの特徴的な構成音は、M7のB音であることを意識するようにしましょう。
基本事項を押さえたところで、以下実践編です。様々なアプローチからメロディックマイナースケールを把握することにトライしています。
メロディックマイナーを使いこなすための練習
メロディックマイナーのトライアドを把握する その1
メロディックマイナーのトライアドを把握する その2
メロディックマイナーのトライアドを把握する その3
メロディックマイナーのトライアドを把握する その4
ダイアトニックコード周辺のスケールでフレーズを考える その1
ダイアトニックコード周辺のスケールでフレーズを考える その2
ダイアトニックコード周辺のスケールでフレーズを考える その3
ダイアトニックコード周辺のスケールでフレーズを考える その4
ルートから一音上のマイナーペンタトニックスケールを弾く
メロディックマイナースケールのフレーズを覚えようその1
メロディックマイナースケールのフレーズを覚えようその2
メロディックマイナースケールのフレーズを覚えようその3
メロディックマイナースケール インターヴァルトレーニング 3度
メロディックマイナースケール インターヴァルトレーニング 4度
メロディックマイナースケール インターヴァルトレーニング 5度
メロディックマイナースケール インターヴァルトレーニング 6度
メロディックマイナースケール インターヴァルトレーニング 7度
メロディックマイナースケール 4度積み その1
メロディックマイナースケール 4度積み その2
メロディックマイナースケールをランダムに弾く練習 〜Julian lage を参考に〜
Cm7 - F7 - BbM7 - G7 進行 メロディックマイナースケールの切り替え練習 その1
Cm7 - F7 - BbM7 - G7 進行 メロディックマイナースケールの切り替え練習 その2
Cm7 - F7 - BbM7 - G7 進行 メロディックマイナースケールの切り替え練習 その3
Cm7 - F7 - BbM7 - G7 進行 メロディックマイナースケールの切り替え練習 その4